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-これって自分にツッコミ日記じゃんと思う今日この頃-
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本日2コ目いきます。普通の日記はひとつ下に。
タイトルは「腕」としてましたが、「抱擁」でも可。さらにファイル名は「tear」。
タイトルって苦手なんですよぅ…

―――

いつもなら人の目を盗んでいそいそと帰る準備を始めている時間のはず。
それが今日は未だ机に張り付いたまま、書類に目を通している。
ただ、その書類は1枚も進んでいないけれど。

理由は分かっている。
あの、数時間ほど前にきた報せのせい。
彼が腐れ縁と呼ぶ――― 親友の死を聞いてから。


「大佐。」
いつもの距離からいつもの口調で呼ぶと、彼ははっとして顔を上げる。
顰めていた顔が一瞬に呆けたようになったのには正直ほっとした。

「今夜はどなたかとディナーだったのでは?」
普段言わないようなことを言うのは、言外に珍しいと言っているのと同じ。

「…気分じゃない。」
目が合ったのは数秒。
そう言って、彼は再び書類に目を落とした。

どうせ進まないくせに、と思いながら。
表情には出さず下を向いた彼を見る。
現に、彼の目に その手に持つ書類は見えていない。
目が文字を追っていない。

今 自分がどんなにらしくない態度を取っているのか、この人は気づいていない。

ふぅ と、呆れを含めた溜め息がついて出た。


「―――どちらにしてももうお帰りになる時間ですが。」
すると彼は再び顔を上げて驚いたようにこちらを見る。
「何か?」
「いや… 珍しいなと。いつもと逆のことを言われるとは思わなかった。」
確かにいつもは終わるまで帰しませんと言う方だ。
帰れと言ったことはない。
「いても仕事がはかどらないのなら、帰られても同じですから。」
「これは手厳しいな。」
スパッと言い切った返答に今度は苦笑い。
中尉らしいと、呟かれた。

いつもと変わらないはずの、それ。

でも…

知っているから。
これは彼が痛みを堪えている時の瞳。
前に見たのはいつだったかしら。
あの時は何も言わず抱きしめて…

けれど、今の私には何もできない。
優しい言葉も差し出す腕も、今の私にはないものだから。
…捨てて、しまったから。

気づかれないように、書類を持つ手に力を込めた。


―――

やっぱり入らないか…
てなワケで後半は上へドウゾ。

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注意:
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ヲタ歴:
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