ロイアイ←ハボ(前)

２日の日記はもう１つ下です。

Ｅ嬢から返事が返ってきたので書きました。
ロイアイ←ハボ。でも場面だけならハボアイかも？
相変わらずハボックさん良い人です。


―――
無人のはずの大佐の執務室で 窓際に佇む彼女に気づいた。
何を見ているのかと隣に並んで階下を見下ろせば、目に入るのは女性の肩を抱いて馬車に向かう大佐の姿。

――彼女は確か中将の娘、だったか。


「…デートの見送りっすか？」
俺の問いに彼女は小さく ええ、とだけ返す。顔は相変わらず窓の外を向いたままだ。
「引き止めたいって顔してますよ？」
「…してどうすると言うの。彼女達みたいに私が大佐にしてあげられることはないわ。」
言葉は淡々としていても 表情がそれを裏切っている。

それは普通なら気付かない程度の変化。
けれど俺はずっと見ていたから。
彼女の感情の変化には誰よりも敏感だと自負する程度には分かる。

―――そこまでして見送るものじゃないだろうに。
そう思う自分は正しいと思う。


「……中尉」
「何？」
そこでやっと顔を上げた彼女の、けれど問いには答えず両腕を彼女の頭の後ろに回した。
「少尉！？」
「―――じっとしてて下さい。髪留めが引っかかってますよ。」
「え…？」
木製の窓枠だから裂け目に引っ掛かっているのだと説明すれば、彼女は納得したようでホッと肩の力を抜いた。
―――ちなみに、引っ掛かってるなんて もちろん嘘だ。

解いてやる振りをして、窓の外を見る。
馬車に乗り込む寸前こちらを見た大佐の、途端変わる表情に、意地悪げに笑ってやった。
これ見よがしにさらに接近してみせる。

…この後の反応はまぁ予想通りというか。


―――

微妙に入らないので半分に分けました。
後半に続きます。